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コラム

ハウスメーカーを比較するときの5つのチェックポイント

2022.11.23

ハウスメーカー選びのポイントとは?

家を建てるとき、最終的に建てる会社(住宅会社)を1社だけ選ぶ必要があります。どんなに良い会社でも2社は選べません。しかも、後で失敗したとなっても取り返しはつかない……。そのため、慎重に住宅会社を選ぶ必要があります。

 

『三重県のハウスメーカーを選ぶなら知って欲しいこと』でも書きましたが、実際の選択肢は、全国に支店展開をしているハウスメーカー、三重県や愛知県などの企業としてのビルダー、工務店の大きく分けると3つが考えられるでしょう。

 

これは、あくまで注文住宅と建てる場合の住宅会社の選択で、中古住宅や建売住宅などの選択肢は含んでいません。それは、注文住宅以外の中古住宅や建売住宅は、自分で仕様が決められないからです。今回は、注文住宅の住宅会社に絞って話をさせてもらいます。注文住宅を建てることを考えて、全国展開のハウスメーカーを地元密着のビルダー、工務店と比較してみたいと思います。

 

住宅の購入をするとき、本当に沢山の選択肢から選ぶ必要があります。地元密着の工務店、ビルダーだけでも三重県には100社以上の住宅会社が存在しています。もちろん、全国展開のハウスメーカーも10社以上あります。

 

ハウスメーカーとは、住宅の施工販売をする会社であり、設計と施工を兼ねて、全国に支店網が張り巡らされているところが特徴です。たくさん会社が存在するからこそ、チェックしなければいけないポイントがいつもあります。

 

 ハウスメーカーとはそもそも何なのか

ハウスメーカー、ビルダー、工務店を比較するために、5つのポイントを紹介しますが、これはあくまでも“おおまかな項目”としての5つです。そこから細かく比較するためにも知識を深めることが必要があります。

 

ハウスメーカーについて考えるなら、ハウスメーカーがどんな仕事をしているのかを知らなければいけません。また、地元密着のビルダー、工務店と何が違うのか?も知る必要があるでしょう。そして、ビルダーや工務店の特徴を理解するのです。そうすることが、ハウスメーカー、ビルダー、工務店を比較することに繋がります。

 

そもそも住宅というものは、注文住宅が本来の形です。ご施主様(建て主様)がその生活に必要なことを設計に盛り込み、それぞれの土地ごとに施工方法を考えて建てていくのが注文住宅です。つまり、フルオーダーメイドなわけです。

 

昭和40年代ぐらいまでは、地元の大工さんが中心になって住宅建築を行っていました。実は、私の父親もその頃から家を建てていた人間です。その時代の住宅は今でもたまに見かけることがありますが、断熱もなく、構造計算などもされておらず、大工さんの経験のみで建築していました。今とは建築に関わる法律なども全く違っていました。

 

それを、一変させたのがハウスメーカーです。ハウスメーカーは、住宅に工業化という概念を持ち込みました。大工さんが行っていたように修行を経た、経験で家を建てるのではなく、建物の高さや、構造などをあらかじめすべて統一。施工方法まで統一し、その都度詳細設計をするのではなく、決められた設計基準のもと、品質を維持しながらコストを管理できるように生産効率を高めたのです。

 

ハウスメーカーは、住宅の工法や材料などの基本仕様を統一し、社内で受注、設計、申請などのプロセスをすべて行うことで、住宅という商品の品質安定を図ってきました。しかし、規格化を進めてきたため、ハウスメーカーの仕様は全国的に統一されています。東北と関東、中京などの地域によって仕様の差があまりなく、きめ細かい仕様の対応が出来ないことがあるようです。

 

その点、地元密着のビルダーや工務店の場合は、社内の規格はあるものの、柔軟に設計変更の対応をする企業が多いのが特徴です。また、施工範囲が狭いため、気候風土に合った基本設計にすることができるます。ビルダーや工務店は、細かい設計変更の対応をしてくれる可能性が高いだけでなく、企業が小さいため、意志決定が早いといえるでしょう。

 

ハウスメーカーは大手企業なので、標準から少しずれた変更を依頼をすると、社内で連絡を取り合い、変更点を明確にしないといけないため、時間がかかる場合や高額なオプション料金を取られる場合もあります。また、ハウスメーカーによっては設計部が、三重の各支店に配属されていない場合があるので、名古屋から設計担当者が出張してくることもあるようです。

 

少々仕様変更が難しくても、品質の安定を求めたい場合はハウスメーカー、わが家に対して要望が多く、仕様や価格に対して柔軟に対応して欲しい場合は、地元ビルダーや工務店を選ぶと良いでしょう。もちろん、地元ビルダーの中にもしっかりとした、品質管理を行っている会社も存在します。

 

 

坪単価と総額価格

ハウスメーカーを比較する際、住宅展示場に行く方が多いでしょう。住宅展示場に行けば、少なくとも5~6社、多いと30社もの住宅会社を一度に比較できるので便利です。

 

住宅展示場には、モデルハウスが並んでいます。ハウスメーカーやビルダー、工務店が、実際にどんな家を建てているのか?をモデルハウスから見ることになるのです。このとき、細心の注意が必要です。なぜなら、ハウスメーカーや地元のビルダー、工務店のモデルハウスというのは、あくまでパッと見の印象を重視した“オプション料金の塊”とも言えそうな住宅を展示している場合が多いからです。

 

オプションというのは、有料で追加される部品だったり、仕様だったりするので実際にその住宅会社が建てている家と大きく異なる場合が多くなります。特にハウスメーカーの場合はその差が大きくなりますので、細心の注意が必要になるわけです。

 

家づくりで成功を手にしたいなら、素敵な夢のある目の前のモデルハウスのキッチンや照明、オシャレな家具などに惑わされることなく、これからお伝えすることをしっかりヒアリングして、いただいた資料にメモをとっておいてください。

 

始めに聞いて欲しいのは、このモデルハウスのどの部分がオプションで、どの部分が標準なのか?という点です。これで各社の考え方違いなどをしっかり理解できることと思います。

 

次に聞いて欲しいのは、このモデルハウスの坪単価と標準仕様の坪単価を聞いてください。さっと答えてくれる営業マンもいるでしょう。さらに、標準仕様のレベルを知りたいので、ほぼ標準仕様で建てた家を一度見せて貰えませんか?と聞いてみるのも良いと思います。

 

中には、坪単価には答えられないという会社があるかもしれません。その場合は、このような質問をすることによって近い答えを引き出すことが可能です。それは、「坪単価を答えられないことは解りました。であれば、たとえば35坪の住宅の場合、このモデルハウスの販売価格はいくらで、標準仕様の建物は総額でいくらになりますか?』という質問です。もし、可能であれば『その建物の価格以外に、引っ越しできるまでに必要な費用はどのくらいですか?』という質問もしてみましょう。この質問にどう答えるか?で解ることは、ハウスメーカーや、ビルダー、工務店の価格だけではなく、各社の営業担当者の接客態度も知ることができます。

 

実は、私は昔ハウスメーカーに勤務していました。だからこそ解ることなのですが、ハウスメーカーの営業担当者は、できるだけ効率化することを求められてます。そのため、必要以上にお客様を見切るタイミングが早い傾向にあります。「見切り」というのは、お客様が自社の顧客になるのか、そうでないのか?という判断のことです。

 

ですので、ハウスメーカーの営業担当者は彼らが必要としている(つまり、自社で建てられるお客様)以外のところには、できるだけ力を入れません。これは、ハウスメーカーが悪いというわけではなく、あくまでこれを比較のポイントとして捉えてください。

 

そのうえで、各住宅会社の家の坪単価が最終的にいくらなのかということが重要です。住宅展示場に行くと、営業マンがアピールポイントをどんどんと言ってきます。それに惑わされることなく、しっかりと質問していくことで、良いパートナーかそうで無いかを見分けることができるというわけです。

 

ただし、ハウスメーカーの場合は全国体制なので、何年も同じ営業担当者がその支店にいるかどうか解りません。せっかく良い営業担当者だと思っても、3~4年ごとに転勤をする可能性があります。ビルダーや工務店の場合は、退職でもしない限りその担当者はずっと在籍しているので、建築後も人間関係が維持できます。

 

もちろん、ハウスメーカーでもきちんとした社内体制でサポートを提供していただけるので、住宅のメンテナンスに関して問題が生じることはほとんどありません。

 

 工業品としてのノウハウと耐震技術

ハウスメーカーは、工業製品として住宅を完成させます。各社それぞれが独特のノウハウを持っており、その建築工法に名前をつけています。自社の看板である工法を知ることによって、比較できる点がいくつかあります。そのひとつが、耐震技術です。

 

耐震技術は、非常に注目されている分野で、日進月歩で発展しています。東日本大震災や熊本地震などが発生したことで、一層重要視されるようになりました。しかし、「当社は地震に強い住宅ですよ」と説明されるとその言葉だけで安心してしまう方も少なくありません。

 

耐震技術については、たくさんの理論があり、決して簡単に説明することはできません。言葉だけでも免震、耐震、制震などという3つの考え方があります。これらについては、複数社に質問してその答えを比較していくと良いでしょう。

 

また、耐震には国が定めた等級基準として「1級」「2級」「3級」があります。1級が最低基準で、2級がその1.25倍、3級は1級の1.5倍の耐震性能があります。平成28年の5月、京都大学研究科の竹脇出教授(建築構造学)の研究グループが熊本地震を解析した結果、この地震に耐えるためには3級相当の耐震性能が必要だという調査結果を発表しています。

 

耐震と間取りには非常に深い関係があります。1階部分の壁と、2階部分の壁の位置が同じであればそれだけ耐震性能が向上します。これを直行率といいます。直行率が60%を大きく下回ると、どれだけ耐震性能を上げても、上下階の振動がバラバラになり倒壊の危険が増すというデータが公表されています。上下の壁部分を一体化させなければ、間取りが自由に広がります。ですが、耐震として考えれば弱くなってしまうのです。間取りやデザインだけで比較せず、耐震基準を観点に、工法を比較するのも一つのポイントと言えるでしょう。

 

ハウスメーカーは、全国的に建築しているため比較的に耐震性能は高い建物が多いようです。ビルダー、工務店の考えは各社まちまちで、デザインを工夫することで耐震性能3級を基準に考える会社があれば、コストやデザインのために耐震性能を1級や2級で建てる会社もありますので、よく各社の意見を聞いてみて下さい。

 

断熱・省エネ性能という新しい基準

断熱・省エネ性能に関して、以前から一部のハウスメーカーやビルダーの間で重要視されていきました。しかし、平成28年にフランスのパリで開かれたのCOOP21という会議で正式に決定した二酸化炭素削減の新基準により拍車がかかり、住宅会社各社が一斉に断熱性能を引き上げはじめています。そのため、平成29年以降の住宅を比較する際、断熱性能が必須条件になっています。

 

断熱性能を比較するとき、平成28年から住宅に適用されたBELS(ベルス・建築物省エネルギー性能表示制度)という基準がわかりやすい数値と言えるでしょう。これは、★(星)の数で、建物の省エネルギー制度を比較する制度です。平成28年度の基準値が「★★」で、「★★★」はそれから10%削減、「★★★★」が15%削減、「★★★★★」が20%削減の最高等級とされています。

 

これの制度のおかげで、建物の省エネ性能が一つの物差しで測れるようになりました。なお、この制度は平成28年から住宅に採用されている制度なので、情報収集能力が劣る住宅会社ならばまだ知らない制度といえるかもしれません。ハウスメーカーでは、★★★等級以上が当たり前ですが、ビルダー、工務店の中には、よく知らないと答える会社があります。技術力・情報収集能力の差が明らかになる物差しの一つです。

 

大事な情報が詰まっている工期

工期はどれぐらいなのかというのも、ハウスメーカーやビルダー、工務店の比較で重要になってくる点です。工法によっては、驚くほど早く完成できる場合があります。ですが、なぜ早いのかということを考えることも重要なポイントです。

 

どうせ建てるのなら、早いほうが良いと思う方は多いと思います。しかし、あなたが一生住み続ける住宅です。数週間の工期の違いよりも、安心安全な住宅のほうがいいはずです。工期が早いのは、どこかで無駄を排除しているからです。つまり、工業製品として効率化を追求した結果といえます。

 

住宅は、まず土地を均して基礎を作り、その上に柱を立てて屋根を作り、さらに壁を作っていきます。そこから内装を仕上げて出来上がるのが基本です。このとき、天候に恵まれないと予定通り進まないことがあります。たとえば、基礎工事の一部には大雨の中では行えない工事があります。また、柱を立てて屋根をかける上棟も雨の中で工事を行うと危険ですし、木材が濡れてしまうのでおすすめできません。

 

これらの住宅建築の流れを全く変えてしまった工法もあります。たとえば、ブロックごとに分割し、それを工場で生産加工して持ってきて組み立てるという方法です。プレハブといわれている工法で、柱の材料によって、木造住宅と軽量鉄骨住宅に分かれます。この工法であれば、基礎さえできあがってしまえば、棟上げと同時に壁の施工が完了します。場合によっては、工場で窓枠をはめて送ってくるので、非常に短期間で外観ができあがります。そのため、あっという間に内装工事に取り掛かれるのです。こうなると、天候に左右される時間は短時間ですので、工期は安定します。

 

では、在来木造工法という日本古来の木造建築がダメなのかといえば、そんなことはありません。在来木造建築は日本の風土に合った工法ですし、間取りなどの自由度がそのほかの工法に比べて格段に高いものです。この工法でも十分に耐震性能が出せますし、価格も工場で多くの部品を組み建てて出荷する住宅よりも安いケースが多数あります。

 

多くのハウスメーカーは、プレハブと在来木造の両方の工法を持っています。これはお客様の要望に合わせた施工が必要になるからです。ビルダー、工務店の多くは在来木造を中心に施工しています。また、2×4(ツーバイフォー)というアメリカ発祥の壁工法の木造住宅もありますが、サプライヤーが限られています。この建物の工期は在来木造と大差がありません。自分の目的にあった家を建てられるのは、どんな工法なのかを考える意味でも、工期は重要です。

 

予算内でできるグレードと設備で比較する

坪単価と総額表示の項目でも話をしましたが、ハウスメーカーとして、どんなグレードの部材を使い、予算がいくらになるのか、それが収まるのかも比較できる部分となるでしょう。

 

住宅を建てる場合、予算に限りがあるのは当然です。その中で、ハウスメーカーやビルダー、工務店がどんなグレードのキッチンやユニットバス、トイレ、床材、外壁材、屋根材などを標準で採用しているのかは重要です。また、部材や設備はどこまで変更できるのか、変更するとどれだけ金額アップするのかも比較検討するといいでしょう。

 

しかしながら、込み入った情報を多くの住宅会社に対して要求するのは、住宅会社各社にとって負担になるばかりでなく、お客様であるあなたにとっても負担になると思います。1社標準、オプション2項目でも、一度に10社を比較しようとすると20以上の仕様について比較検討としないといけなくなり、プロである私でもそれだけの建物を比較して、一番適切なものを選ぶのは多分難しいと思います。そのため、まず『坪単価と総額表示』と『耐震性能と工法』、『断熱/省エネ制度』、『工期』の4項目を比較した後に、2、3社に絞り込んで、希望する住宅の間取りなどで比較検討することをおすすめします。

 

住宅のオプションなどの選択肢は非常に多く、プロの私でもどんどん新しく発売される住宅部材のすべてを把握するのは困難です。まずは、さまざまな切り口でなるべく多くの会社を吟味して、一番皆さんにあった会社をごく少数選んだ上で最終の仕様の絞り込む。この順番で行うことが、時間の節約になりますし、最終的に一番ご家族に合った会社を選べます。今回お話したことが、皆さんの会社選びの一つの指針になればとうれしいです。