コラム
(概要)
ワンフロアに生活スペースが集約できる平屋建てに魅力を感じる方が増えていますが、どのような間取りが考えられるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
(本文)
家族構成に応じた間取り
平屋建ての家の間取りを考える際、大切なのは家族構成を考えた部屋割りです。いくつかの例を見てみましょう。
(1)夫婦2人で住む場合。
ご夫婦2人の暮しは、お互いのプライバシーを保てる空間を設け「それぞれで、自分の時間を楽しみたい」という方も多いでしょう。
たとえば、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)を家の中央にとり、LDKを挟んで、寝室と和室、さらに3畳ほどでもご主人の書斎がある、という部屋割りにすると、ご夫婦それぞれの空間ができ、適度にプライバシーを保つことができます。
(2)ご夫婦とお子さん1人の3人家族の場合。
リビング・ダイニング・キッチンが一つになったLDKは広くとりたいですね。LDKを広くとると家の中に解放感が生まれ、家族が集まりやすくなります。そして、ご夫婦の寝室、お子さんの勉強部屋。これで2LDKの間取りになります。
坪数によりますが、ご主人が書斎がほしいということであれば、もう一室加えた3LDKの間取りになります。書斎や客間にも利用できるよう、予備室として用意しておくと便利です。
(3)ご夫婦とお子さん2人の4人家族の場合。
お子さんが2人の場合、子供部屋をどうするかが問題です。小さいうちは2人一室でもいいでしょうが、中学校にあがる頃にはそれぞれ独立した空間がほしくなります。
もう一つ、家族が四人になると「収納」の問題が大きくなります。納戸を設けるとかさばるものをひとまとめに収納できて便利です。
また、各部屋にクローゼットを用意したり、キッチン、玄関、床下等に収納箇所を作るなどして、収納量を確保したいところです。
LDKを大きくとる
平屋建て家の間取りを考える際、おすすめしたいのはLDKを大きくとっておくことです。家族が集まる場所ですし、採光面でも重要な箇所です。そして、広いLDKはさまざまな使い方ができる場所なのです。
たとえば、小さいお子さんがいらっしゃるご家庭では、リビングがお子さんの遊び場所になるでしょう。
「片づけても片づけても、子どものおもちゃでリビングがきれいにならない」。そんなお母さんの声を聞くことがあります。そうした際、カラーボックスなどを横に並べて部屋にコーナースペースを作り、そこをお子さんの遊び場にするとリビングのあちこちにおもちゃが散らばるということがなくなります。
また、不意の来客時、そのスペースがおもちゃで散らかっていても「子どものスペース」として見られますから、リビングが散らかっているという印象を持たれずにすみます。
この「スペースを作る」ということは、他にもさまざまなケースに適用できます。
小学生くらいまでは、家の中で一番好きな場所はリビングです。LDKを広くとっておくと「勉強スペース」を作ることができます。
大きな造作は必要ありません。LDKの一角をパーティションで区切りイスとテーブルを用意して「スペースを設ける」だけです。LDKの中にあるということで、お子さんも安心して勉強ができますし、その様子をキッチンから見守り、会話を交わすこともできます。
また、LDKを広くとっておくと、ある部分だけは畳敷きにし、ついたてなどで上手に仕切れば、それだけで「和」の雰囲気を楽しむことができますし、お客さまが泊まる場所としても使えます。
LDKを広くとっておくと、その時、その時期に合わせ臨機応変に対応ができるのです。
広い場所に必要なスペースを作るのは工夫次第ですが、狭い場所を広くして新たにスペースを設けるのは、大がかりな工事が必要になってしまいます。平屋建ての間取りを考える際、あらかじめ考えておきたいところです。
ロフトの効用
「家の中のバリアの最たるものは階段」という言い方があります。とくにご高齢の方にとって、階段の上り下りは大きな負担です。
平屋建ての良さの一つは「階段」がなく、家の中を完全にバリアフリーにできる点にありますが、その一方、平屋建てに「ロフト」を設けるというスタイルも人気です。
人気の理由として「ロフト」という言葉の響きも大きいかともおもいますが、実は「ロフト」は、実用面で大きな効用を持っています。とくに「収納」に関してです。
暮らしにとって、必要なものをすぐ取り出せる、ということは重要なことです。しかし、必要ではあるものの、常に取り出したりしまったりする必要がないものもあります。
五月、端午の節句の鯉のぼりを子どもたちは喜びます。その顔を見ると親としてもうれしくなりますが、鯉のぼりは常に必要なものではありません。これに類したものはたくさんありますね。冬に使うガスファンヒーター、山登りが好きな方のシュラフやテントなど。
平屋建てに「ロフト」を設けると、そうした物を収納する場所として利用できるわけです。
平屋建ての間取りを考える際、この「ロフト」の効用もお考えになっていただきたいとおもいます。