COLUMN
三重県で注文住宅や新築一戸建てを建てるなら森大建地産

コラム

断熱等級7も、呼吸する家も。三重の工務店が正反対の工法を続ける理由

2026.07.21

「高気密高断熱こそ正解」「いや、家は呼吸すべきだ」。


家づくりの世界には、ちょっとした宗教戦争のような対立があります。SNSでも、業界の勉強会でも、それぞれの陣営がそれぞれの理屈と実例を掲げて譲りません。伊賀や津で家づくりを考え始めて、両方の主張を見比べるうちに「結局どっちを信じればいいの?」と手が止まってしまった——見学会に来られる30代のご夫婦から、いちばんよく聞く言葉がこれです。

私たちは三重県伊賀市で昭和45年(1970年)から家づくりをしている森大建地産という工務店です。そして少し変わったことに、この「対立する2つ」の両方を扱っています。断熱等級7クラスの高気密高断熱住宅(UA値0.26・C値0.24という実績の家もあります)と、壁の中に空気の通り道をつくるWB工法。正反対に見える工法を、どちらもやめずに続けています。

「節操がない」と言われたこともあります。それでもやめない理由を、今日は書いてみようと思います。

 

「快適」はお客様の数だけあった

きっかけは、お引き渡し後のお宅を訪ねる中で気づいたことでした。

高気密高断熱の家にお住まいの、伊賀市内の30代共働きのご家族は「夏でも家じゅうカラッとして、帰った瞬間から涼しい。もう戻れない」とおっしゃいます。お子さんが花粉やダニのアレルギーに悩んでこられたご家庭ほど、この「機械で管理された一定の快適」を喜ばれます。

一方で、WB工法の家のご家族は「窓を開けられる季節は開けて暮らしたい。機械のフィルター管理に追われたくない」とおっしゃいます。梅雨でも空気が重くない、家のにおいがこもらない。そういう「自然に寄り添う快適」を選ばれた方です。

どちらのご家族も、心から満足されている。つまり「快適」の中身が、そもそも一人ひとり違うのです。これは優劣ではなく、暮らし方の違いでした。

 

伊賀と津、同じ三重でも空気が違う

もうひとつ、50年この土地で建ててきた実感があります。伊賀は周囲を山に囲まれた盆地で、夏は湿気が底にたまるように蒸し、冬は氷点下まで冷え込んで朝霧が立ちます。一方、津は伊勢湾に近く、冬の冷え込みは伊賀ほどきつくない代わりに、一年を通して湿気と付き合う土地です。

同じ三重県でも、家に求めるものは同じではない。カタログの全国平均値より、「この谷あいは冬にどれだけ冷えるか」「この町は梅雨にどれだけ湿るか」のほうが、設計にはずっと効いてきます。

 

湿度50%と60%、たった10の差の話

とはいえ、感覚論だけでは家は建てられません。私たちが判断軸にしているのが「夏の湿度を何%にしたいか」です。

ダニは湿度60〜80%、温度25〜30℃で最も活発に繁殖するとされます(殺虫剤メーカーKINCHOの公式noteより)。つまり60%は「ダニが増えやすいかどうかの境目」。70%を超えるとカビの繁殖も本格化します。50%と60%の差は数字上は10ポイントですが、この境目をまたぐかどうかの差でもあります。

もうひとつ、夏によくある「エアコンで冷えているのに、じめじめする」現象。あれは温度だけ下げて、空気中の水蒸気を処理できていないサインです。空気は温度が下がると抱えられる水蒸気の量が減るので、冷やすだけだと湿度(割合)はむしろ上がる。しかも大きすぎるエアコンは室温をすぐ下げて止まってしまい、除湿する前に「お休みモード」に入ります。ひやりとするのに、じめじめ。夏の不快の正体はここにあります。

 

だから、うちは2つの選択肢を持っています

ひとつめは、高気密高断熱+小屋裏エアコン。家を魔法瓶のように包み、小屋裏に置いた市販エアコン1台を計算した容量で連続運転させ、家じゅうを冷やし除湿する方式です。夏の湿度50%前後を狙えるのが強み。アレルギー対策や「常に一定の快適」を求める暮らしに合います。正直な弱みは、設計力への依存度が高いこと。見よう見まねでは冷えない家になりますし、フィルターやガラリの掃除もゼロにはなりません。

ふたつめは、WB工法。壁の中の二重の通気層と、湿気を通す内装材で、家自体が湿気を逃がし続ける方式です。形状記憶合金の通気口が夏は開き、冬は閉じる。電気もダクトも使わないので日常の管理がシンプルで、夏60%前後で安定しやすいのが持ち味です。正直な弱みは、猛暑日のエアコン併用が前提であること。気密性をめぐって専門家の間で議論があることも、削減効果のデータの多くが開発元の実験値であることも、隠さずお伝えしています。

この2つ、数字で見る以上に「体感」が違います。文章では伝えきれない部分なので、気になった方のために、記事の最後に見学のご案内だけそっと置いておきます。

 

共通する土台は「技術力」

正反対に見える2つですが、私たちの中で土台はひとつです。

一見相反する2つの工法を続けている理由は、「技術力」と「三重県での暮らし方」の両方を大事にしたいから。ここで言う技術力とは、特別な建材や流行の工法を仕入れることではありません。断熱等級7クラスの高性能住宅も、WB工法も、熱負荷計算・風量計算・温熱計算という裏付けを持って設計・施工できる力のことです。

岐阜の工務店・凰建設の森亨介さんは、住宅業界紙の新建ハウジングで空調設計の連載や実践塾を持ち、「結論(商品や工法)ありきではなく、計算を前提とした空調設計」という姿勢を発信し続けています。同業ながら、この姿勢に深く共感しています。工法が家を快適にするのではなく、計算に裏付けられた設計が家を快適にする。だから私たちは、どちらの工法にも同じ計算プロセスを課しています。

 

三重の気候に合わせて「選べる」こと

そしてもうひとつの土台が、三重での暮らし方です。

盆地の伊賀で、冬の底冷えやお子さんのアレルギーと無縁に暮らしたいご家族には、等級7クラス+小屋裏エアコンを。津の湿気の中でも、窓を開けて季節を感じながら暮らしたいご家族には、WB工法を。伊賀・津の気候と、そこでのご家族の暮らし方に合わせて、計算という同じ土台の上で選べること。

それこそが、私たちの考える「地域の新しい家づくりとしての選択肢」です。ひとつの工法を信じて売り込むのではなく、この土地の気候を知る工務店として、選べる状態でお迎えする。50年やってきて、ようやく言葉にできた私たちの立ち位置です。

 

どちらが優れているか、ではなく

「で、結局どっちがいいんですか」とよく聞かれます。答えはいつも同じです。どちらが優れているかではなく、どちらがあなたの暮らしに合うか。

夏は50%のカラッとした空気で過ごしたいのか。60%以下に収まっていれば十分で、機械の手間を減らしたいのか。この問いに答えられるのは、工務店ではなくご家族自身です。私たちの仕事は、2つの選択肢の得意と弱みを正直に並べて、計算という共通の土台の上で一緒に選ぶこと。

だから、うちは正反対の工法を2つともやめません。

「三重の住宅を、世界基準に。」——森大建地産の合言葉です。伊賀のモデルハウスでは、両方の工法の空気を実際に体感していただけます。見学会の日程やご相談は、プロフィールのリンクからどうぞ。返信がゆっくりの日もありますが、伊賀の山あいで、お待ちしています。

 

◆ 参考にした情報
- KINCHO公式note「ダニは湿度何%で増える?」
- さいたま市「室内の湿度を適正に保ちましょう」
- 新建ハウジング「森亨介氏とともに学ぶ 全館空調実践塾」
- 凰建設ブログ「梅雨時の除湿のお話し」
- 丸和ホーム「WB工法は機械式24時間換気が不要?」
- WB HOUSE公式サイト

※凰建設さんのデータ・発信は岐阜での他社実測に基づくもの、WB工法の削減効果は開発元の比較実験値であり、いずれも当社物件の性能を保証する値ではありません。

※別商品シリーズ(G1,耐震等級 2)(G2,耐震等級3)制振装置付もあります
※全館空調、松尾式小屋裏エアコンver3商品もあります
※GX-ZEH対応 太陽光発電蓄電池搭載商品もご用意してます