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コラム

三重の新築と電気代|35年555万円の試算と太陽光・蓄電池

2026.09.14

目次

三重の新築で電気代はいくらかかる?
再エネ賦課金とは何か?
電気代を35年払い続けるといくらになる?
太陽光は売電と自家消費どちらが得?
蓄電池を足すと何が変わる?
三重県は太陽光に向いている?補助金は?
太陽光の設置は義務?
断熱性能とセットで考える理由
よくある質問

三重の新築で電気代はいくらかかる?

三重で新築を検討していると、「延床面積が広くなる分、今より電気代は上がるのでは」と不安に感じる方は少なくありません。三重県内だけの電気代を示す公式統計は見当たらず、電気代の水準は主に全国平均の統計で把握することになります。総務省の家計調査によると、単身世帯を含む全世帯平均の電気代は2021年に月8,606円でした。これが2025年には月10,962円まで上昇しています。夫婦と子どもなど二人以上の世帯に限ると、2025年の平均は月13,219円で、前年比10.1%の増加です。新築住宅は賃貸より延床面積が広くなりやすく、冷暖房の負荷も増える傾向があります。そのため、電気代の絶対額は今より上振れしやすい点を資金計画に織り込んでおきたいところです。

世帯区分2021年2025年変化
全世帯平均
(単身世帯を含む)
月8,606円月10,962円約1.27倍
二人以上の世帯月13,219円
(前年比+10.1%)

出典: 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)」

再エネ賦課金とは何か?

再エネ賦課金とは、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る費用のことです。この費用は、電気を使うすべての人が負担する仕組みになっています。太陽光を設置していない家庭も、電気代の一部としてすでに支払っています。

経済産業省が2026年3月に発表した2026年度の単価は1kWhあたり4.18円です。これは制度開始以来最高で、初めて4円を超えました。制度が始まった2012年度の単価は0.22円だったので、約19倍に上昇したことになります。

2023年度だけは市場価格の高騰の影響で単価が1.40円まで一時的に下がりました。このため、一直線に上がり続けているわけではありません。

電気代にはこの再エネ賦課金のほかに、燃料費調整額という項目も上乗せされています。燃料費調整額とは、原油や液化天然ガスなど発電燃料の価格変動を、毎月の電気料金に反映させる仕組みのことです。2026年8月分については、国の料金支援策により低圧の電気料金が1kWhあたり3.50円値引きされています。

これにより、負担が一時的に緩和されている面もあります。長期的な傾向としては上昇していますが、年によって下落や緩和が入り混じっている、というのが実態に近い説明です。

実際の負担額で見てみましょう。月400kWhほど使う家庭では、再エネ賦課金だけで年間約20,064円になります。これは4.18円/kWh×400kWh×12か月で試算した金額です。

検針票では、次の3ステップで確認すると分かりやすくなります。

1. 電力量料金(使用量に応じた基本の電気代)を確認する
2. 燃料費調整額(毎月変動する加算・値引き分)を確認する
3. 再エネ賦課金(1kWhあたり4.18円で計算された金額)を確認する

年度再エネ賦課金単価(円/kWh)
20120.22
20151.58
20182.90
20213.36
20231.40
(市場価格高騰の影響で一時的に下落)
20253.98
20264.18
(制度開始以来最高)

出典: 経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」2026年3月19日

電気代を35年払い続けるといくらになる?

電気代が今の水準のまま一切値上がりしないと仮定した単純計算をしてみます。二人以上の世帯(月13,219円)では、35年間で約555万円、60年間で約952万円になります。555万円という数字を見て、「そんなにかかるのか」と感じた方もいるかもしれません。これは「値上がりを見込まない、いちばんおとなしい前提」での試算です。実際には再エネ賦課金も燃料費調整額も毎年変動するため、上振れも下振れも起こり得ます。それでも、初期費用と比較する際の目安として、一度は計算しておく価値のある数字です。

この試算は全国平均を基にしたもので、三重県固有の数字ではありません。ご自宅の検針票があれば、月々の使用量と単価から同じ計算を個別に行うことができます。

世帯区分・項目月額年額35年60年
二人以上の世帯
(2025年)
13,219円158,628円約555万円約952万円
全世帯平均
(2025年)
10,962円131,544円約460万円約789万円
再エネ賦課金のみ
(月400kWh想定)
1,672円20,064円約70万円

出典: 総務省統計局「家計調査報告」、経済産業省「再エネ賦課金単価」を基に試算

太陽光は売電と自家消費どちらが得?

2026年度のFIT制度では、5年目以降の売電単価は8.3円/kWhです。これは買う電気の単価(21.20〜28.62円/kWh)を下回るため、自家消費のほうが経済的になりやすいと言えます。FIT制度(固定価格買取制度)とは、太陽光などで発電した電気を、国が定めた価格で電力会社が買い取る制度です。買取期間は住宅用で10年間です。2026年度の住宅用太陽光(10kW未満)の売電単価は、1〜4年目が1kWhあたり24円、5〜10年目が8.3円です。買う電気は中部電力ミライズの従量電灯Bで見ると、税込でおおむね21.20円から28.62円です。この金額には燃料費調整額と再エネ賦課金が別途加算されます。

この単価の逆転を背景に、太陽光の位置づけは「売って稼ぐ」ものから「買わずに済む」ものへと変わってきています。日中に発電した電気をできるだけその場で使い切る自家消費という考え方が、現在の主流になっています。

項目単価(円/kWh)
FIT売電(1〜4年目)24.00
FIT売電(5〜10年目)8.30
買う電気(中部電力ミライズ従量電灯B・第1段階)21.20
買う電気(同・第3段階)28.62

出典: 経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」、中部電力ミライズ「従量電
灯B 電気料金」

蓄電池を足すと何が変わる?

蓄電池を組み合わせると、昼間に発電した電気を夜に使えるようになり、電気を買う量を減らせます。一方で削減幅はご家庭の使い方や契約プランで変わり、一律の数字では言えません。

自家消費率とは、太陽光で発電した電気のうち、売電せずに自宅で使った電気の割合のことです。太陽光のみの自家消費率は、制度上おおむね3割程度とされています。この数値は価格算定上の想定値であり、実測の平均値ではない点に注意が必要です。

蓄電池を併用すると、太陽光だけの場合と比べて自家消費率を高められる可能性があります。

蓄電池には保証や寿命の目安もあります。一般的には10〜15年程度が保証・寿命の目安とされています。交換時には数十万円から100万円程度の費用がかかることもあります。太陽光単体と比べて初期費用は増えます。一方で、停電時に夜間や悪天候でも蓄えた電気を使える点は、蓄電池ならではの価値です。導入を検討する際は、削減効果と初期費用、保証条件をあわせて確認しておきたいところです。

出典: 経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」、京セラ「蓄電池の寿命について」

三重県は太陽光に向いている?補助金は?

三重県(津)の年間日照時間は2,108.6時間と全国平均を上回りますが、発電量の目安は全国平均とほぼ同水準です。補助金は2026年9月10日現在、津市・四日市市・名張市が受付中、伊賀市・桑名市は受付終了です。

日照時間の数字は気象庁の平年値(1991〜2020年)によるものです。日照時間が長いことと、発電量の目安が突出して有利であることは別の話で、両者は必ずしも比例しません。過大な期待を持たずに検討する材料として押さえておく必要があります。

補助金の内容は自治体ごとに異なり、予算枠に達し次第終了する仕組みです。伊賀市の受付終了は予算上限への到達によるものです。5市の詳しい内容は次の表のとおりです。

自治体太陽光の補助蓄電池の補助受付状況
(2026年9月10日現在)
伊賀市7万円/kW・上限70万円対象経費×1/3予算上限で受付終了
名張市1kWあたり実費または7万円の低い方×出力
(出力上限10kW)
あり
(太陽光と同時設置が条件・対象経費の1/3・蓄電容量20kWh以下)
受付中
(先着順・2026年11月30日まで。予算上限到達で早期終了の可能性あり)
津市7万円/kW・上限70万円受付中
四日市市7万円/kW・上限70万円受付中
(予算残少)
桑名市7万円/kW・上限70万円受付終了

共通要件として、FIT・FIP認定を取得しないこと、発電した電気の30%以上を自家消費することが条件になっています。これから検討する場合は、着工のタイミングと予算枠のタイミングを事前に自治体へ確認しておきたいところです。

出典: 気象庁 平年値、三重県「住宅の省エネ化・再エネ導入補助(市町実施一覧)」、伊賀市・名張市・津市・四日市市・桑名市の各補助金ページ

太陽光の設置は義務?

三重県において、新築住宅への太陽光設置は2026年9月10日現在、義務ではありません。太陽光の設置義務化は東京都と川崎市で2025年4月から始まっています。対象は施主本人ではなく、大手住宅供給事業者等に限られる制度です。三重県ではこうした義務化の制度は導入されておらず、太陽光を設置するかどうかは施主の任意の判断になります。「義務化」という言葉だけが独り歩きして、三重県にも同様の制度があると誤解されるケースがあります。対象地域と対象者を分けて理解しておく必要があります。

出典: 東京都「新築住宅への太陽光発電設備設置義務化」、川崎市 太陽光発電設備等の設置義務化制度、三重県「太陽光発電に関する情報」

断熱性能とセットで考える理由

2025年4月から、新築住宅はすべて省エネ基準への適合が義務になりました。国は遅くとも2030年度までに、その最低基準をZEH相当の水準まで引き上げる方針を示しています。この水準は、断熱等性能等級5・一次エネルギー消費量等級6に相当します。対象は新築のみで、すでに建っている住宅がさかのぼって基準違反になることはありません。太陽光や蓄電池を導入しても、家自体の断熱性能が低いと冷暖房に使う電気の量が多くなります。その結果、発電・蓄電による効果が相殺されやすくなります。

電気代を長期的に抑えたい場合、考え方は2つあります。太陽光・蓄電池という「創る・蓄える」設備と、断熱・気密という「使う電気を減らす」性能です。この2つは切り離さずにセットで検討する必要があります。どちらか一方だけに投資しても、期待した効果が得られにくいためです。

出典: 国土交通省「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」

よくある質問

Q1. 太陽光や蓄電池の初期費用は高いですか?
太陽光・蓄電池ともに初期費用はかかります。ただし、電気代を今の水準のまま35年間払い続けた場合を考えてみましょう。二人以上の世帯では、約555万円になる計算です(値上がりなしの単純試算)。初期費用と長期の電気代負担は、どちらも数字で比較して検討することをお勧めします。

Q2. 太陽光は元が取れますか?
売電収入だけで元を取る考え方だと、FIT単価は5年目以降8.3円/kWhまで下がります。そのため、以前ほどの収益は見込みにくくなっています。一方で、自分で使う電気を減らせる分は実質的な節約になります。「売って稼ぐ」より「買わずに済む」効果で考えるほうが、現在の制度の実態に近いといえます。

Q3. 太陽光・蓄電池は災害の備えになりますか?
停電時にも太陽光や蓄電池があれば電気を使える点は備えになります。ただし災害の発生時期は予測できないため、日々の実感としては電気代の節約効果のほうが分かりやすいという面もあります。両方の効果を踏まえて検討するとよいでしょう。

Q4. 蓄電池の寿命はどれくらいですか?
一般的には10〜15年程度が保証・寿命の目安とされています。交換時には数十万円から100万円程度の費用がかかることもあります。導入時にはメーカーごとの保証条件を事前に確認しておくと安心です。

Q5. 三重県では太陽光の設置は義務ですか?
義務ではありません。太陽光の設置義務化は東京都・川崎市で2025年4月から始まっていますが、対象は大手住宅供給事業者等に限られます。三重県では2026年9月10日現在、新築住宅への設置義務はありません。

Q6. 太陽光と蓄電池さえつければ十分ですか?
太陽光・蓄電池だけでは十分とはいえません。家自体の断熱性能が低いと、冷暖房に使う電気が多くなり、太陽光で発電しても効果が相殺されやすくなります。太陽光・蓄電池と断熱・気密は、セットで検討することが重要です。

出典一覧

- 経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」2026年3月19日
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 経済産業省 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」2026年2月5日
- 中部電力ミライズ「従量電灯B 電気料金」
- 中部電力ミライズ「電気・ガス料金支援について」
- 気象庁 平年値(年・月ごとの値)津
- 東京都「新築住宅への太陽光発電設備設置義務化」
- 川崎市 太陽光発電設備等の設置義務化制度
- 三重県「太陽光発電に関する情報」
- 三重県「住宅の省エネ化・再エネ導入補助(市町実施一覧)」
- 伊賀市「住宅用太陽光発電システム等設置費補助金」
- 名張市「住宅用太陽光発電システム等設置費補助金」
- 津市「住宅用太陽光発電システム設置費補助金」
- 四日市市「住宅用太陽光発電システム設置補助金」
- 桑名市「太陽光発電システム設置費補助金」
- 京セラ「蓄電池の寿命について」
- 国土交通省「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」

監修者プロフィール

監修: 森 秀樹(森大建地産株式会社 代表取締役・三重県伊賀市)
三重県伊賀市を拠点に、注文住宅・リフォーム・相続対策を手がける工務店の経営者です。住宅の打合せで電気代や太陽光・蓄電池について相談を受ける立場から、公的な統計と一次資料をもとに解説しています。総務省・経済産業省・気象庁などの統計を、家づくりに関わる電気代や省エネ基準の説明に活用しています。

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